JOURNAL

竹田でくらす
「竹田で暮らす」をインタビュー
友永創介さん

“先を考えず”に今を生きる 行動派の若き“作り手”

竹田市の城下町にある日本料理『友修』の跡継ぎとして生まれ育った友永創介さん(24)。「嫌いだった」という地元を離れ、一度は東京での生活を過ごすも、一昨年体調を崩しUターン。改めて地元で生活を送ることで、新たな出会いや、実家を継ぐということも視野に入れ始めた友永さんですが、地元の魅力を知った上で、再び“竹田を離れる”という選択をしました。
「先のことを考えてもしょうがない」と人生について楽観的な捉え方をしつつも、“今”しかできないことに全力でチャレンジしている友永さん。独特な感性を持つ彼の魅力に迫ります。

■嫌だった地元を離れて、東京で得た転機

竹田市の城下町にある老舗料理店の息子として育った友永さん。7つ歳が離れた自由奔放な姉と対照的に、周りの空気を読む大人びた性格だった彼は、親や他人からの「友永家の跡継ぎ」というプレッシャーを日々感じていたと言います。

「父は継ぐことに対して直接は言わないんですが、継いで欲しいんだろうなというのは日々の言葉や態度の細かいところから感じていましたね。僕は友永家の人間なんだって。高校卒業する頃には、お前は友永家の長男だってよく言われてましたから」。

「跡継ぎ」というワードが頭の片隅にある中で、彼の心にはいつしか「竹田を離れたい」という思いが生まれるようになりました。

「竹田が嫌で嫌で仕方なかったんです。勉強は好きじゃなかったけど、東京に行きたくて大学を選びました」。

食品に関して総合的に学べる4年生大学に進学。念願叶った都会での生活でしたが、これが大きな転機となったのです。

「東京の食べ物とか水とか空気とか、そういったものが合わなかったんです。野菜も全然食べなくて、コンビニのご飯や肉中心の荒れた食生活とか、睡眠不足がたたって、就活中にアトピー性皮膚炎を発症しました。就活中には全身に広がって痛いし痒いしで。就職を諦めて一昨年竹田に戻ってきたんです」。

竹田に戻ってからは有機野菜を育てる農家さんの元に通ったり、健康に良い食事について研究したりとストイックに生活スタイルを改善。次第に体調も回復し、嫌だった田舎の環境の良さを実感するようになったと言います。

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故郷の環境が体質を改善に向かわせた

■先のことを考えるのは、僕にとって無駄なこと。
2年間竹田で過ごし、地元に腰を据えるのかと周囲が期待していた矢先に、彼は新しい土地へ旅立つことを決意しました。

「今年の春から京都の旅館に就職して、4〜5年くらい料理の修行をすることになったんです。とにかく技を磨いて、その後竹田に帰ってこようと思ってます」。

これこそ、食事の大切さを身を以て体感した友永さんだからこそできること。今度は作る技術を習得して、振る舞う側へとシフトチェンジをすることにしたのです。「実家を継ぐ」ということが現実味を帯びてきたのかと聞くと、

「僕、料理じゃなくても“作る”という行為が好きなんです。他にも金継ぎって言って器の直しもしたりしていますし、それまでに色々とチャレンジして、自分に蓄積されたものを竹田でアウトプットしたい。僕は考えるよりも行動したいタイプなんですけど、先のことを考えるということがいかに無駄なことかということを思っているんですよ。大学の時は東京の飲食店に就職して、フランスに留学に行こうとある程度プランを考えてたんですけど、体調を崩したことで出鼻くじかれちゃって。その時に、先のことを考えていても絶対うまくいくことはないんだなって思うようになったんです」。

人生は計画通りにいかないのが当然。だからこそ大きな夢物語を描くのではなく、地に足をつけて、一歩一歩目先の目標に向かって進む友永さん。数年間の修行を経て、地元に凱旋した彼は果たして何を創り出していくのか。いろんなアンテナを張り巡らせながら、新たなる挑戦へ動き始めています。

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料理修行のための包丁が綺麗に配置

■交際して2ヶ月。友永さんの描く結婚観とは
竹田に戻ってから順調に動き出した歯車は、恋愛面においても幸せをもたらしました。竹田市内で開催されたアートイベントで、中学校の同級生と偶然再会し意気投合。春には京都へ旅立つことが決まっていたものの、自然に交際はスタートしたと言います。

「再会して1ヶ月くらいで付き合い始めました。空気感が同じで、自然体でいられるのが良かったんです。でも付き合って数ヶ月で遠距離になるので、別れたら別れたでいいとも思っています。もちろん繋ぎ止められるように頑張りますし、彼女と結婚できるかというのは付き合うときに考えていましたから」。

お互いの仕事や付き合いが始まったばかりということもあり、すぐ結婚には踏み出せないようですが、結婚相手に求めるものはしっかり持っているという友永さん。

「結婚相手の理想が2タイプあって。まず一つめのタイプは、一緒に仕事を切り盛りできるようなハツラツとした女性。もう一つは自分が仕事から帰って来た時に落ち着いた環境を作ってくれる女性。このどっちかが理想です。父からは、「ちゃんと働く嫁を連れてこいよ」って言われることもあるけど、でも僕が一番大事にしたいのは、お互いにどんな不満があってもちゃんと2人で改善していけること。どちらのタイプでも、それをなし得ていける2人になれたら良いなと思います」。

今の彼女はおしとやかで、落ち着いた環境を作ってくれる後者のタイプ。似た者同士でもある2人はお互いに言葉に出さずとも相手の気持ちを理解できるそうで、それが友永さんにとってとても心地良いんだとか。彼女とのゴールインは、
遠距離という試練を乗り越えた先になりますが、連絡の取り方にも“俺流”の考えがあるようで。

「メールとかLINEとか、ダメなんですよ僕。打つのが遅いっていうのもあるんですけど、メールで用件だけじゃなくて会話をしようとする人いるじゃないですか? そういうのが苦手で。LINEに関しては「LINE交換しよう」って言われて教えても、連絡来なかったりするんですよね。この人間関係なんなんだろう、希薄だなって思って。嫌になりました」。

お互いに流れる空気感や、父親との関係性でもあったように態度や行動を見て感情を読み取る友永さんだからこそ、目に見えないやりとりというのはどうやら苦手な様子。20代の若者には珍しい、その不器用さもまた彼の良さなのかもしれません。

1時間のインタビューを通して、仕事観や人生設計、恋愛観について多く語ってくれた友永さん。先のことはわからないと言いつつも、現実をしっかり捉え、風の向くまま、気の向くままに今できることを楽しんでいる姿は、とても魅力的に感じました。

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年齢以上に落ち着いた雰囲気がありました