JOURNAL

竹田でくらす
竹田竹楽めぐりの舞台
ろうそく灯で味わう但馬屋のお茶席の裏側

「同じ体験を共有すると、不思議な絆が生まれることがある」婚活の仕事をしていると、それをよく感じます。だから、私たちは竹田えんむすびでイベントを企画する時にも「体験」を重視します。11月に企画している、竹楽めぐりのイベントでは、老舗和菓子屋但馬屋さんでのお茶の体験を盛り込むことになりました。

打ち合わせに行ったところ、担当してくれる大塚理美さんの語る、お茶席への想いや、竹田の街への愛情がとてもすてきだったので、急遽記事にさせてもらうことに!約200年続く但馬屋を守る理美さんの言葉は、竹田の町をより深く味わうきっかけを届けてくれました。

竹田竹楽と、竹田えんむすびの竹楽めぐり

毎年、11月に竹田市の城下町一帯で行われるイベント。約2万本の竹灯籠が町中に灯ります。近年竹の需要が激減し、それに伴い、竹林も荒廃していっています。竹林保全を目的に観光協会が平成12年にスタートしたのが竹田竹楽です。
独身者同士の出会いを届ける竹田えんむすびでは、この竹楽を一緒にめぐるイベントを開催します。とは言っても、大勢ででぞろぞろ歩いてもあまりコミュニケーションが取れないので、1グループ8名から10名の小グループで歩きます。
集合して自己紹介をした後は、竹楽の点灯ボランティアに参加し、グループで竹楽散策。1つのグループは、すっかり日が落ちて暗くなった頃を見計らって、但馬屋さんのお茶席に向かいます。

お話してくれたひと|大塚理美さん
竹田市出身。但馬屋6代目の次女。8年前に福岡市から竹田へ戻り、但馬屋へ入る。広報、販売、経理などを担当。高校生の時に茶道の魅力に気づき稽古を始める。子供向けの茶道教室を開くのが夢。2歳児の母。

聞き手|市原史帆
竹田えんむすびの企画・運営担当。神戸出身。東京の婚活会社で出会った夫と結婚し、子育てをきっかけに移住を決意。1ヶ月の九州旅行を経て、2017年に竹田に移住。竹田えんむすびの他、婚活とライフデザインをテーマにワークショップやイベント、記事執筆を行う。1歳と4歳の二児の母。

知る人ぞ知る、但馬屋のお茶席

市原 : 但馬屋さんの竹楽でのお茶会は、何年くらいされてるんですか?

理美さん(以下理美): もう20年になります。

市原 : そうなんですね。
私は、去年、初めてこのお茶会に参加させてもらいました。去年、竹田に移住してきたばかりなので、竹楽自体もはじめてだったんですが。仲良しの友達が、竹楽にいくなら絶対にいった方がいいと案内してくれた場所が、但馬屋さんのお茶室でした。
小さな看板がでているだけだし、普段はあいていない場所なので本当に入っていいの?とドキドキしてしまいました。
ほのあかりの茶室のムード、和菓子、静かに点ててくれるお茶。時間も空間も超えた異世界に迷い込んだようで、本当に感動しました!

理美: ありがとうございます。
このお茶室は、竹楽のパンフレットや地図にもでていなくて、竹田の方でも、知っている方は限られているんです。いらっしゃる方もリピーターさんが多くて、だいたい7割くらいはそうですね。



市原 : だいだい的に宣伝はされていないですものね。まったくの新規の人はまずこなさそうです。

理美: そうですね。
もともと、このお茶席は、社内の茶道部のお稽古としてはじめたんです。まだ竹楽が、こんなふうに大々的にやっていなかったころに、竹灯籠のろうそくに合わせて、夜咄風のお稽古をしてみようということになって。

市原: 夜咄ってなんですか?

理美 : お茶事の中にあるんです。夜に、ろうそくの灯りだけのほのぐらい空間でお茶を点てるというものが。

市原 : そうなんですね。いや〜、竹楽の雰囲気にぴったり合いますよね。

理美 : 明るい場所でのお茶とはまたちがったよさがありますよね。少しでも明るいとでない、暗いからこそ生まれる何かがあるんです。

好きな人は本当に気に入ってくれるようで。例えば、もう4年も、福岡から通ってくれている、お父さんと娘さんがいらっしゃって。「このお茶会のためにきてるんです」とおっしゃっていて、感動してしまいました。日帰りだから、このお茶にきて、もうささっと帰ると。

市原:それはうれしいですね!

理美 : そうですね。そう言った話を聞くと、背筋がすっと伸びますよね。

他にも、お客様に「お点前、じょうずになりましたね」と言われたこともあるんです(笑)あ、見てくれてるんだと。

竹田の文化が色濃く味わえる場所

市原 : 竹田は、お茶をされている方、多いですものね。お客様にも見る目がある方が多いから、緊張しますね。

理美 : 竹田は、お茶に限らず、おけいこごとのレベルが高いと思います。私の伯母の世代、70代以上の方は特にそうです。詩吟、謡曲、書道、お花、いろいろなことができる方が多いですよね。

竹田では、ひと昔前には、街を歩いていたら、三味線や鼓の音が聴こえてくるのが自然だったんですって。瀧廉太郎も、竹田のそういう文化に、影響を受けたと言われています。

市原 : それは、街並みにも影響している気がします。初めて竹田を訪れた時に、なんとも言えない文化の香りを感じました。文化に親しむ方が暮らしている場所だから、例えば生垣ひとつ、窓のしつらえひとつ、変わってくるんでしょうね。

理美 : そうですね。でも、習いごとをされる方も、今、急激に少なくなってしまっています。先生がいなくなり、お教室自体がなくなっていることもあります。せっかくあった、文化が消えていこうとしている気がします。いろんなジャンルで。

市原 : そういう意味では、この但馬屋さんは貴重な存在ですよね。

竹田に積み重ねられてきた、文化の歴史が、色濃く感じられる場所だと感じます。私自身、疲れた時や、気分転換したいときに、但馬屋さんにきたくなるんです。
それは、和菓子を味わいたいだけでなく、空気を感じたいというか。お花のしつらえひとつ、窓からみえる景色ひとつ、この明るさひとつ、どれにも味わいがあります。
忙しない日常から、ひととき離れ、心をリセットするきっかけになるんです。

理美 : そう言ってもらえて、うれしいです。

但馬屋は、昔の商家の形が残っているとは思います。やっぱり、和菓子という、歴史あるものを扱っていることが、ブレずに、文化を守る理由になったとは思います。はみ出してはいけない、見えない線がある。例えば、湯のみひとつ選ぶにも、流行りだとか、好みだとかとはちがう視点で選ぶようなところはあります。



市原 : 私が味わいにきているのは、その小さな積み重ねの上に生まれたものなんでしょうね。

それを知ると、竹楽でのお茶会は、また特別ですね。竹楽という、町の未来のために市民がはじめたイベントのその日だけにする、夜咄風のお茶会。

理美 : ぜひ、味わってもらえるとうれしいです。

竹楽めぐり「お茶コース」はたった、男性4名・女性4名<先着>なので気になる方はお早めに!

【独身企画】11/17(土)竹楽散歩。但馬屋さんのお茶体験〜30代からの大人の散歩〜